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長期展望という伝統

公開日: : 移籍情報 ,

モイーズと交わした6年契約という長期契約をわずか10カ月で反故にしたマンチェスター・ユナイテッド。伝統の「一人の監督による長期政権」という伝統を失うことはユナイテッドにとって損失?

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モイーズ解任=伝統喪失?

david_moyes

前任者のファギーが1986年から2013年までの27年間という四半世紀以上監督をやっていたこと、そして6年契約のモイーズを10カ月で切ったことで、ことさら今回の解任劇でユナイテッドの伝統が失われたと言われちゃっているけど、1シーズンで解任、退任、辞任のケースは今回が初じゃあない。

ウィキペディアを見ても古いところでは1931/32のウォルター・クリックマー(イングランド)、前任者のバズビーを復帰させることになる1969/70のウィルフレッド・マクギネス(イングランド)、初の英国以外からの招へいとなった1971/72のフランク・オファレル(アイルランド)など。

ウォルター・クリックマー

クリックマー

ウィルフレッド・マクギネス

マクギネス

フランク・オファレル

オファレル

伝統喪失=ユナイテッド弱体化?

この伝統を守ることがユナイテッドの発展・繁栄とイコールで、逆にこの伝統を失うことがユナイテッドの衰退とイコールなのであれば何が何でもこの伝統は守るべきなんだけど、必ずしもそうではないと思う。

長期政権だからといって育成や長期的スパンで物事を考えられない監督ならば毎年湯水のごとくビッグネームを獲らないとチームのパフォーマンスを維持できないだろうし、長期に渡って任せられる監督が現れれば長期間お願いし、そうじゃなければチームが1サイクル終える毎に監督も変えればいいと思う。

そういう意味で言うと今噂になっているファン・ハール監督の招へいってのはユナイテッドのカラーと違いすぎて個人的にはあまり望む人事ではないんだけれど、過渡期の立て直しのための劇薬という位置づけなら有りなのかなという感じ。新たなユナイテッドのオプションは作ってくれるかもしれない。

伝統維持は非常に難しい

昔と違って1995年のボスマン判決以降EU圏内の選手の移動が自由になったし、オイルマネーの流入によって金に物を言わせるクラブが増え続けたことで補強をする上でのライバルは増加。、一方でCLのステータスが上がり「出れる」「出れない」の差が激化して4位以内キープする重要性が増加。そういった周囲の環境の変化のせいで、クラブの魅力や経営状況を維持するために悠長に何年も結果が出るのを待つことが困難になってきてる。

また、ユナイテッドのサポーター、OB、生え抜き選手はこの伝統を良く知っているから1、2年結果が出なくても我慢できるかもしれないけど、獲得しようとする選手にしてみれば、「何でこんな結果も内容も伴わないのに監督を変えないんだ?」「俺の大事な1シーズンを棒にして来季への地ならし?」と監督やクラブへの不信感が生まれて補強が難しくなることも懸念されるしね。

変わりゆくユナイテッド

伝統というのかは分からないけど、時代の流れによって変化してきたところは他にもたくさんあって、1991年から2005年までロンドン証券取引所に上場していて「世界最高の優良企業」とまで呼ばれていたけど、グレイザー一家に買収されて上場廃止。2012年にニューヨーク証券取引所に再び上場されたけど、グレイザーが持つ株と比較して議決権が10分の1しかなく全株式を買い占めても議決権では1.3%にしかならないというグレイザーの借金返済計画の一部にすぎない。

あとファギーが四半世紀以上に渡って続けた「事前のスタメン発表」は皮肉にも長期契約で後を任されたモイーズがストップ。これもファギーが最初からそうしていたなら27年間も続けていたことなので伝統と言えたと思う。

クラブのエンブレムだって、クラブ(ユニフォーム)の色だって、フォーメーションだって時と共に変わってきたんだし、監督の長期政権だって変化したっていいんじゃないかと思う。今はまだ維持できている「オールド・トラフォード」という名前だっていつか経営状況が悪化して命名権を売却する日が来るかもしれないし、スタメンにイングランド人がゼロになる日も来るかもしれない。それでもユナイテッドはユナイテッドであり、ファンはピッチに向かって「ユナイテッド!ユナイテッド!ユナイテッド!」と叫び続けることでしょう。

一つの伝統が失われたということは、新しい伝統が生まれたということだと思えばいいんだし、若手の育成、ハードワーク、不屈の精神、このあたりが維持できれば他は流れに身を任せても大丈夫だと思う。

という自分なりの意見でした。

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Comment

  1. アッペルシーニ より:

    こんにちは。
    たいへん興味深く読ませていただきました。
    生き延びたものは強かったからではなく変化できたからだというようなものがありましたが、変化に対応できるかというのはフットボールでもやはり同じなのかなと思い出しました。
    ファンとしてはもちろんクラブが生き延びることを望んでいます。ユナイテッドはこれからも目が離せませんね。

    • 赤いクマー 赤いクマー より:

      アッペルシーニさん

      ファギーという偉大な監督は去りましたが、これをチャンスととらえてユナイテッドには変化ではなく進化を期待しています。
      モイーズ監督との挑戦は心半ばでとん挫しましたが、次の監督とネクストユナイテッドを築いてもらいたいです!

  2. 名無しの赤い悪魔 より:

    私はユナイテッドのファンではないのでわからない面もあるのでずが、あまりにファギー政権が長く上手くいきすぎたゆえに長期政権ありきで物事が進んでいると思っています。
    またフロントやファンもファギー=ユナイデッドという観念にとらわれ過ぎているのかもしれませんね。
    監督が違えば方針も異なりますし、モイーズにもう少し時間を与えるべきだったという意見もわかります。しかし、選手側がファギーにある意味縛られてしまい、モイーズのことを信頼しきれなかったのも事実でしょう。ベテラン組は10年くらいファギーの元で過ごしてますし、ギグスに至っては監督はファギーしかしらないですしね。
    ファギーはバルセロナにCLで敗れてから、欧州制覇できるチームに改革しようとしていたようですが、国内のプレミアでは今まで通りのやり方でも勝てているので、もしかしたら選手の中でも改革しなくもいいと考えている選手や、ルーニーのように改革した方がいいって考えてる選手もいて、フロントを含めて一枚岩になりきれていない現状が問題を難しくしているような気がします。

    • 赤いクマー 赤いクマー より:

      コメントありがとうございます!

      選手は「そんなこと言われたって俺ファギーしか知らないし!」という選手もいますからね。
      クラブ側はモイーズを後任に指名するにあたってそのあたりのケアに不足があった点は否定できないでしょうね。

      欧州で勝つために変化を加える改革は今よりも弱くなる(国内タイトルも獲得できなくなる)リスクがあるので、国内タイトルが獲れるやり方でいいという選手の言い分も理解できるんですよねぇ。

      ただ、国内も最近はどんどん他国の監督や選手が流入してきて今までのやり方では勝ちにくくなってきていたのも事実で、選手の世代交代や戦い方を含めて今回の監督交代のタイミングで抜本的に変えてこなかったツケが一気にやってきたという感じだと思っています。

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