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プレミアリーグの新ルール(選手給料増加分の制限)

色々と調べてみるとプレミアリーグは選手の給料について独自のルールを設ける(既に設けてある?)ようで、それを考慮した場合、マンチェスター・ユナイテッドがこの夏の移籍市場に突っ込めるお金はそんなに多くないんじゃないの?という話。

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マンチェスター・ユナイテッドは来季CL出場権を逃すとグループリーグを突破した際の1000万ポンド(約17億円)のボーナスを含む約3500万ポンド(約60億円)の収入を失うことに。

収益が悪化することは、新たなプレミアリーグの支出制限ルールへの対応にも影響を及ぼし、この劇的な収入の減少が一体どのような影響を与えるのかを考えてみる。果たしてその結果は驚くべきものだろうか?

計算してみると、クラブが来季の補強として用意していると報道されている金額よりも、この困難な状況を打開するために移籍市場に投入できる金額は少ないように思える。たとえ、NIKEとの契約更新によって大幅な広告収入の増加があったとしても、ユナイテッドは選手に支払う給料の総額が増えすぎないように注意する必要があるだろう。

実際、もしもNIKEとの高額な契約更新が結ばれなかった場合には、制限をオーバーする給料の増加によって選手獲得停止(もしくは勝ち点のはく奪)が2015/16シーズンに適用されるだろう。

移籍市場からの締め出しは下記の条件が揃うだけで起こるだろう。
・リーグ戦で5位以下に終わる
・この夏の移籍市場で選手獲得に巨額を投じ、給料支払額が増加する
・その一方でこの夏に選手の売却をほとんど行わない
・CL出場権を逃した損失をその他の収入増加によって補えない(そのためNIKEとの契約更新が非常に重要)

新しいプレミアリーグの支出制限ルールでは、各クラブは基準となる2011/12シーズンの総収入からの増収分で給料の増加分を補うか、給料の増加分を400万ポンド(約7億円)/年までに抑えなければならない。

Premier-league-new-salary-cap-rule

例えば、基準となる2011/12シーズンの総収入が200億、給料170億円で、2013/14シーズンの総収入が250億円なら給料は基準の170億円+増収分の50億円=220億円まで増加可能。一方、もしも2013/14シーズンの総収入が2011/12シーズンと比較して減収なら給料は170億円+7億円=177億円までしか増やせない。

この新しいサラリーキャップ制の罰則についてはまだ正式発表されていないものの、移籍市場からの締め出しと勝ち点はく奪になるだろうと言われており、クラブにとてつもない損失を生じさせることだろう。新しいルールは政府からの圧力によって生まれたものであり、このルールに違反して選手獲得ができなくなるクラブが必ず出てくるだろう。

この新しいルールについてのフローチャートが下記に示すとおりである。給料の総額が5200万ポンド(約88億円)に達していないクラブはそこまではクラブの総収入の増減にかかわらず増やすことが可能。

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ユナイテッドの場合、給料総額が既にボーダーである5200万ポンド(約88億円)を大きく超えていることから、クラブの収入を増やせたシーズンに限って、給料の総額を400万ポンド(約7億円)ではなく増収額分まで増加させることができる。このクラブの増収「Own Revenue Uplift」の内訳にはリーグから振り分けられるTV放映権料などは除外される。

しかしながら、チャンピオンズリーグのTV放映権料や試合チケット収入は「Own Revenue Uplift」に含まれるため、CLに出場できなくなるとこのルール上、選手への給料の支払い金額の上限において非常に大きな痛手となる。

ユナイテッドは最近半期報告書を公開しており、それをもとに試算していく。

Man utd projectiony

2013/14シーズンの数字は最近のレポートからの推算であり、2014/15シーズンについては予想である。「Own Revenue Uplift」(増収額)についてはそれぞれ基準となる2012/13シーズンとの比較。2014/15シーズンの収入はNIKEからの増収分が3000万ポンド(約51億円)、それ以外からで2000万ポンド(約34億円)と推測している。もしも上記のシナリオに沿って進んだ場合、ユナイテッドは給料の総額を2億2100万ポンド(約376億円)以上まで増加させるとルール違反となる。これは今シーズン(2013/14シーズン)の2億900万ポンド(約356億円)から1200万ポンド(約20億円)しか増やせないことを意味している。

ちなみに、お隣の青いチームでは昨シーズン給料として2億3300万ポンド(約396億円)が支払われている。これはもしもユナイテッドがシティと同じ給料額まで引き上げると移籍市場から締め出しを喰らってしまうことを意味しており、ユナイテッドのファンにとっては頭にくる事実だろう。ユナイテッドは移籍金に巨額を投じるかもしれないが、給料の上昇可能分の面で非常に制限を受けるのである。

もしもユナイテッドが物凄い収入の増加を成し遂げられれば、問題は解決される。しかしながら、チャンピオンズリーグの出場権を逃した場合に、1シーズンで2000~3000万ポンド(約34~51億円)も増収させることは非常に困難なことであろう。(スタジアムのネーミングライツは考慮していない)

もう一つのカギとなるのが”「Profit from player trading」である。ユナイテッドには数多くの損切りしてでも売るべき選手がいるものの、ユナイテッドはこの夏の移籍市場で選手の売買によって黒字にはならないとみられている。ルールではもしも選手の売買で黒字になればその収入分も給料を増額できるとされている。これはルーニーのような選手が売却益を出すために売られる可能性を示している。

もしもユナイテッドがヨーロッパ・リーグへの出場権を得られると少しは事態が改善される。一般的にグループリーグを突破すると800万ポンド(約14億円)の収入になると言われているが、現時点では獲得できる見込みは少ない。

もしもユナイテッドがこの夏に補強で選手を獲得しすぎて給料の支払いが制限を超過した場合の流れは下記の通りとなる。

2013/14: 6位以下でフィニッシュ(CL、EL出場圏得られず)
2014/15: 選手補強で給料総額増加、一方収入は減少
2015/16: リーグが14/15シーズンの増収分と給料を比較して違反と認定
2016/17: 移籍市場からの締め出しand/or勝ち点のはく奪

ユナイテッドが抱えるビッグネームの何人か(エブラ、ファーディナンド、更に移籍したファビオ、それとマケダ、リンガード)は今シーズン終了時点で契約が満了し、さらに契約が延長されないとみられている。理想を言えばより多くの選手を放出することで新規獲得選手の給料に回したかったところだが、それでも高給取りであるリオやエブラ、ビディッチがクラブを去ることで新規獲得選手に回すことができるだろう。

ユナイテッドにとってはCL出場権を逃したことによる減収と、スカッドの再構築で費用がかさむダブルパンチによってこの新しいプレミアリーグのルールが疎ましいことだろう。モイーズにとって都合の悪いことに、クラブは多くの補強が必要なタイミングで何も考えずに給料を増やすことができない。新しいルールは劇的な変化をもたらし、金満なクラブがチーム強化のために何も気にせず金に物を言わせて補強できるような時代は終わったのである。

<元記事: Manchester United unable to spend their way out of trouble|Finalcial Fair Play

とりあえずナニとヤングは売るべきなんだなと思った。でも使われ方を見るに戦術的な理由でサイドの守備を計算できるヤングは残りそうだよなぁ。

NIKEとのスポンサー契約更新が鍵を握っているとか結構な綱渡り状態だなぁ。次々とスポンサーを連れてくる香川は、ピッチ外での評価が高そうだ。けなすわけじゃなく、むしろスポンサーを連れて来られるのも、スポンサーが選手として香川に魅力を感じるからだろうと思うし、立派なことだと思う。

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Comment

  1. ダプ より:

    改めてこのように収支関係のルールを見ると、もう少しユナイテッドのフロントは賢く売買してほしいですね。やっぱりマタはいい選手だとは思いますが60億は少し高いですし、フェライニも売却条項で安く買えた時期を逃していますし・・・。
    また香川もこの夏移籍するかはまだわかりませんけど、モイーズはどう評価しているか不明ですが、フロントは最近アジアのマーケットに力を入れてるみたいなのでアジアの顔として手放したくないって感じですかね。
    私は、選手として活躍できるチームに移籍してほしいと思っていますが、どうなるか本当にわかりませんね。

    • 赤いクマー 赤いクマー より:

      ダプさん、コメントありがとうございます。

      マタを売った側のチェルシーのビジネスの上手さが際立ちますね。一方のユナイテッドは他のターゲットを狙っているうちにフェライニの売却条項行使できる期間を過ぎての高値獲得ですから非常に対照的です。

      香川については日本のスポンサーを連れてきてくれる点でもアジアマーケティングの点でも手放したくないでしょうね。なので、ユナイテッドのフロントは香川に出番を与えた上でチームにフィットして活躍してくれることを誰よりも願っているかもしれませんね。シティ戦でケチャップドバドバとなって一気にレギュラー獲得なんてなったら最高なんですが、週末フル出場したので出れるのかどうかが・・・。

  2. ジョージベストの再来。 より:

    スパーズ、チェルシー戦での敗戦した時点(確かあの時は上位との勝ち点が詰まっていた時)でモイーズに見切りをつけるべきだったと思います。

    おそらくフロントは、CL出場は確実に計算に入って
    いたと思うし、後になって「逃がした魚は…なんて」
    考えて欲しくないですね。

    • 赤いクマー 赤いクマー より:

      ジョージベストの再来。さん、

      まだあの頃は上位との差がなかったため、盛り返せば上位を狙える可能性がありましたからね。
      逆にそれによって、6年契約で長期政権を目指して招き入れた手前、モイーズに対してもモイーズを選んだファギーに対してもファンに対しても簡単に切るに切れない状況でしたね。

      それにしてもさすがにフロントもCL出場権を逃す、ましてやELにすら出れないというのは収支の点で考えていなかったでしょうね。
      リヴァプールがここまで一気に復活するというのも予想外だったかもしれません。
      いつものように途中で失速するだろうと思っていたかもしれません。
      また、モイーズとフェライニを引き抜いたエヴァートンがここまで伸びたのも想定外でしょう。

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