この14か月が無駄だったことを示すのにキャリックが要した時間はたったの3日間
マンチェスター・ユナイテッドは、マイケル・キャリック暫定監督のもと、オールド・トラッフォードでマンチェスター・シティを2-0で撃破。ほぼ2年ぶりのベストパフォーマンスを披露。
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マンチェスター・ユナイテッドは今回は浮かれないと語っていたが、土曜日のように夢の劇場が湧き立てば、浮かれずにいるなんて無理ってなもんよ。現時点でのキャリック正式就任のオッズは、土曜朝時点よりもオッズが低くなっているのは間違いないだろう。
まさかここまで上手くいくとは夢にも思わなかっただろう。今シーズンのユナイテッドにとって、ダントツでピカイチのパフォーマンスだった。おそらく、2024年のFA杯決勝でシティに勝利して以来のベストパフォーマンスだっただろう。キャリックは水曜日の朝、再び監督交代があったこと、悪くない試合展開ながら結果が伴わないことで打ちのめされているように見える選手にメッセージを送った。
僅か3回の練習セッションでこれだけの改善が見られたのはまさに目を見張る成果だ。ユナイテッドはシティよりも賢く、鋭く、そして激しいプレーを見せた。ペップ・グァルディオラ監督のものとシティに対してこれほど圧倒できたことは稀なことだと言える。試合終了後、アウェイスタジアムにかけつけたファンのもとへ向かったが、出迎えたのは多くの空席だった。シティファンは、とっくの昔に敗因を察していたのだ。
グァルディオラ監督は試合終了のホイッスル後、キャリックをハグして耳元で「来シーズンも会うかい?」と囁いた。まだまだやるべきことはたくさんあるが、この勝利は44歳のキャリックが正式に監督に就任する可能性があることを確信させた。
キャリックは、ユナイテッドの監督として打ち負かした監督リストにグァルディオラを加えた。これまでこのリストには、ミケル・アルテタとウナイ・エミリの名が記されていた。他にも、トーマス・トゥヘル率いるチェルシーとも引き分けており、これだけでも立派な経歴であり、何が起こっても彼はこの日を決して忘れることはないだろう。
ユナイテッドがダービーでゴールを奪ったのは3年以上も前のことで、2023年1月にテン・ハフ監督就任1年目のホームで20試合無敗を記録していたユナイテッドは、マーカス・ラッシュフォードのゴールで勝利をつかんでいる。
しばらくの間、このオランダ人指揮官がユナイテッド復活という方程式をと解いたかと思われたが、またしても証明は失敗に終わった。みんな慣れっこだ。アモリムでまたしても14か月を無駄に過ごしたことを目の当たりにし、今となってはあの暗黒の日々はいかに無意味なものだっのか。
アモリムはユナイテッドを戦術的に追い込んだ。アモリムのプレミアリーグ最下位チームと対戦したいという願望は、ピッチ上で積極性と野心を示したいユナイテッドにとって彼を解任する最後の一押しとなった。そしてクラブが望んでいたものをキャリックはピッチ上で実現させた。4バック採用、フェルナンデスには自由を。両翼はスピードと創造性を。サー・アレックス・ファーガソンが笑顔だったのも至極納得。
ユナイテッドは試合開始直後からキャリック暫定監督就任で勢いを取り戻したかの如くプレーした。ハリー・マグワイアはCKからヘッダーをクロスバーにぶち当て、ジャンルイジ・ドンナルンマはパトリック・ドルグのシュートをセーブした。
ユナイテッドのプレーには、2026年の3人目の指揮官となったキャリック暫定監督に強烈な印象を与えたいというアグレッシブさがあったが、その熱意が両SBの早々のイエローカードという結果に空回りして繋がった。ディオゴ・ダロトは足裏を見せてコンタクトしたことで悪い印象を与えた。接触は軽微だったが、VARで厳しく罰せられずに済んだのは幸運だった。
ルーク・ショーはロドリに激しくぶつかってイエローカードを受けたが、ユナイテッドのプレーはシティを翻弄した。ユナイテッドは集団でボールに襲い掛かり、スピードを上げて前線に飛び出そうとした。エンベウモの動きは、経験の乏しいマックス・アレインとアブドゥコディル・クサノフを翻弄。両WGとブルーノも背後への抜け出しを狙っていた。
この狙いにより、アマドとブルーノがどちらも裏に抜け出してドンナルンマをかわしてネットを揺らしたが、惜しくもオフサイドとなりゴールは認められなかった。しかし、ユナイテッドは正しいアプローチが出来ているという自信を与えてくれるものだった。
後半、シティはニコ・オライリーとラヤン・チェルキを投入したが、ユナイテッドの守備を崩すには至らず。オライリーは出場3分後には早くもアマドへのファウルでイエローカードを貰ってしまい、10分後にアマドがカットインしてきた際には何もできなかった。アマドのシュートは惜しくもドンナルンマにセーブされたうえ、カゼミロが押し込もうとしたシュートも足で防がれてしまった。
その数分後にはブルーノのクロスからエンベウモが狙ったボレーシュートもこのイタリア人GKにセーブされたことでユナイテッドは攻めても点が取れずに相手に少ないチャンスを決められて負けるといういつものパターンになるのではと懸念しだしたころ、かつてのオーレ・グンナー・スールシャール監督時代にダービーで効果を発揮していた伝統のカウンター戦術そのままに先制点を決めた。
シティはユナイテッド陣内でFKを獲得して試合をコントロールしていたが、これをマグワイアが跳ね返すと、そこからの逆襲の速さと突破力は目を見張るものだった。ブルーノがドリブルで運ぶと、3人のサポートを受けながらエンベウモも完璧なパスを送ってドンナルンマに隙を与えなかった。
10分後、試合は決した。マテウス・クーニャのクロスに対してドルグがニコよりも素早く反応してネットに押し込むとストレットフォード・エンドのサポーターは熱狂。その後、アマドが再びスリリングな突破からポストを叩く惜しいシュート、メイソン・マウントのオフサイドで取り消されたゴールがあった。
キャリック暫定監督は、グァルディオラ監督とハグしたあと、満面の笑みを浮かべてスタンドを振り返り、家族に握りしめた拳を突き付けた。トンネルを下ってストレットフォード・エンドに向かう際にはより感情をあらわにしていた。重要な大一番で確かな足跡を残した。
なお、オーレも暫定監督として18試合で14勝するという素晴らしい結果を残したことで正式監督に就任。しかしそこから大滑降。
同じ轍を踏まないためにも、一喜一憂せずに辛抱強く、調子に乗り過ぎないことが大事。
ただ、この試合で見せた守備の強度や囲い込みがキャリックや新たにやって来たコーチ陣の手腕なのであれば今後が期待できるんじゃないかな。守備が安定して失点しなかっただけじゃなく、そこからのカウンターも切れ味があった。
この試合では出場しなかったシェシュコ、あるいは途中出場だったクーニャやマウントをどう活かしていくのか。守備でもマグワイアではなくヨロ、デ・リフト、ヘヴンあたりに代わってもクオリティーを維持できるか。
久しぶりに次の試合が楽しみでしょうがない。
髪を切れないユナイテッドファンが断髪できる日がやって来るかもしれない。


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