モウリーニョにとって、ブリントは外せない選手に
デイリー・ブリントはレスター戦でCBからLSBへの降格人事に対して見事な反応を返し、ジョゼ・モウリーニョ監督に何とも悩ましいメンバー選考のジレンマを抱えさせた。
© Getty Images
レスター戦後、ブリントには賛辞が送られていた。ユナイテッドのサポーターはかつてユナイテッドに所属したアーノルド・ミューレンを思い出してオランダ人選手への愛情を示し、ブリントは83年のカップ戦の決勝でゴールを決めたミューレン、あるいはスタム、ルート・ファン・ニステルローイらとカルト的な人気で肩を並べたからしれない。
オランダ人選手はここ最近のユナイテッドでは人気銘柄では無かったが、ブリントは例外の1人だ。オランダ育ちのLSBは、アレクサンドル・ビュットナーを見て心配していたユナイテッドのファン達を安心させ、むしろ絶え間ぬ攻撃参加と素晴らしいリーダーシップを示したデニス・アーウィンを思い起こさせ、スピードに欠ける事など殆ど気にならない。
サポーターの中には、ブリントがリヤド・マフレズと相対することを危惧していた。しかしながら、昨シーズンのブリントはCBとして良いプレーを見せており、サイドで起用されても好敵手相手に素晴らしいパフォーマンスを披露した。
昨年の春、アンドロス・タウンゼントはブリントにサイドで追いかけ回され31分で交代を余儀なくされた。アンフィールドでの試合では、エムレ・カンが強気なパフォーマンスのブリントのプレーに思わずPKを献上してしまった。アストンヴィラ戦ではアシストを記録し、その運動量でヴィンセント・コンパニをヘトヘトに疲れさせたこともある。
ガリー・ネビルはウェイン・ルーニーに対し、ユナイテッドに留まっていたいならポール・スコールズ、ライアン・ギグス、さらにはブライアン・マクレアーから学ぶ必要があると語っているが、キャプテンはブリントを見るべきだろう。ルーニーはここ数シーズン、政治的な理由と弱い監督によってユナイテッドでのキャリアを守り抜いてきたが、ブリントは純粋にそのスキルで生き抜いてきたのだ。
2015年の3月にブリントがLSBへとスイッチしたのはファン・ハールの見事な戦術的手腕なのでは無い。ルーク・ショーがFA杯の準々決勝アーセナル戦で負傷したからである。
その4ヶ月後にはCBにポジションを移したが、これは夏にセルヒオ・ラモスらターゲットを誰も獲得出来なかったからである。これがユナイテッドのタイトル争いにも大きく影響し、ブリントの弱さはバフェティンビ・ゴミス、グラツィアーノ・ペッレ、アレクシス・サンチェス、オディオン・イガロ、サロモン・ロンドンのような、様々なタイプのFW相手に露呈した。だが、彼は生粋のCBではないし、2週間の間にセルヒオ・アグエロとロメロルカクを抑えこんでおり、失態を忘れることは簡単だ。
ブリントはワトフォード戦で、ジョゼ・モウリーニョ監督からユナイテッドに移籍して以来僅か2度目となるメンバー外の扱いを受けた。バイリーとスモーリングはスーパーなCBであり、モウリーニョ監督はパワフルでスピードに秀でたDFを起用しており、ブリントがスタメンから外れるのは不可避なことだった。ましてや、新加入のバイリーは素晴らしいパフォーマンスを見せていた。
ブリントが試合から外された6日後に素晴らしいパフォーマンスで答えを示したことこそ彼の素晴らしさを表しており、彼は何処かのポジションに固定せずに試合から外せない選手なのだ。フィル・ジョーンズのような選手という意味じゃなく、ブリントは素早い判断力による出足の速さでマフレズを心理的に封じ、攻撃では左サイドでポグバやラッシュフォードとスムーズに連携した。そのテレパシーで通じているかのような高連携は、まるで1年以上もLSBでプレーしているかのようだった。
LSBこそブリントのベストポジションだ。彼はオランダが5-1でスペインを下した2014年のW杯の試合で最も輝いていた選手だった。そしてこの試合でプレーしていたのが彼がトータルフットボーラーとして本領を発揮するサイドのポジションだ。彼はヨハン・クライフの信奉者だ。
モウリーニョ監督の葛藤は、ブリントをどこで起用するかだ。中盤に戻すのは屈強な相手と対戦することやエレーラの成長を考えれば悪手であり、モウリーニョ監督は敏しょうでアグレッシブな選手を守備陣の前に配置するのが好みである。ショーはワトフォード戦では不安定なパフォーマンスだったが今後ワールドクラスな選手になるだろうし、スモーリングとバイリーはCBのスペシャリストだ。
だが、ショーがユナイテッドでアシストを記録したのは昨シーズンのスウォンジー戦でのマタへのクロスだけだ。一方、ブリントは先週のCKからの2アシストと、昨シーズンのレスター戦のCKでシュバインシュタイガーのゴールをアシストしたのを除いても、LSBとして4アシストを記録している。
モウリーニョはユーティリティな選手よりもスペシャリストを好むって言っていたけど、ブリントの場合はユーティリティ部門のスペシャリストだね。複数のポジションを何とかこなせるという60点の選手じゃなくて、複数のポジションを80点とか90点でこなせちゃう。
バイリー、スモーリング、ショーをローテーションで休ませることが出来るし、試合中のシステム変更も可能にするし、本当に使い勝手が良くてコスパの良い選手だ。
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Comment
ぜひアンカーで。それだけです。
以前でいうところの、オシェイの系譜ですかね。。。でも、エレーラ外したくないけど確かにアンカーブリント見てみたい。
やっぱりブリントは外せませんね
ただCBではないポジションで起用して欲しいですよ~
そもそも、この体格でCBで、出ても仕事できるって時点で
超凄い選手ですよね。
ただ彼の武器を考えたらCBでは勿体ないですよ。
ゲームでも能力を上げてほしいです(笑)
過小評価されてますし、ハールでは最高の補強でしたね。コスパ的にも。
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